これも仏教と関わりのある言葉だった!「七宝」の意味とは?

秋が近づいてきているはず…ですが、暑い日が続いていますね。
こんにちは。ほと子です。

七宝(しちほう・しっぽう)の透明感にあふれる輝きは、まだまだ強い日差しが続くこの季節にぴったりです。
今回は、そんな七宝について、少し詳しくお話しします。実は、七宝は仏教に深く根付き、古くから日本の文化や芸術に大きな影響を与えてきたものなんですよ。
装飾品にも多く使用されている七宝の魅力を、一緒にみていきましょう。

七宝とは?

七宝とは、金属の表面にガラス質の釉薬(うわぐすり・ゆうやく)を焼き付ける工芸技法のことを指します。名前の由来は「七つの宝を集めたように美しい」という意味で、この技法で作られる工芸品や装飾品は、美しい色彩と光沢を持つことが特徴です。日本では「七宝焼き」として知られ、中国では「琺瑯(ほうろう)」、西洋では「エナメル」と呼ばれている、とお伝えすると、イメージがつく方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

七宝の歴史は古く、紀元前十数世紀までさかのぼります。

世界最古の七宝は、紀元前のエジプトで作られた装飾品という説が有力です。絵が描かれた金や銀の金属板や、陶磁器、ガラスなどを下地とし、釉薬を焼き付けたものです。これがヨーロッパ各地に伝わり、朝鮮半島を経て奈良〜平安時代頃に日本に伝わりました。

 

日本に現存する最も古い七宝焼きは、奈良の正倉院に保管されている「黄金瑠璃鈿背十二稜鏡(おうごんるりでんはいのじゅうにりょうきょう)」の裏面に施されたものです。また、宇治の平等院鳳凰堂の扉金具にも七宝焼きが施されており、日本の七宝焼きの歴史を知る貴重な文化財となっています。

仏教と七宝の関わり

七宝という言葉は仏教の経典に由来していて、7種の宝物のことを指しています。

仏教でいう七宝は、漢・魏・唐・宋など時代や国によって若干の違いがありますが、金・銀・瑠璃(るり)・はり・しゃこ・赤珠(しゃくしゅ)・碼碯(めのう)の7つです。これらの宝物は、仏教において徳、富、幸福などの象徴とされ、仏教徒にとって精神的な目標や理想を表すという、重要な意味を持っているのだそうです。

日本の七宝芸術

七宝は世界各地で装飾工芸として発展しました。

日本の七宝焼きの技法は世界での評価も高く、非常に緻密で高度なものです。

 

工程を簡単にお伝えすると、まず金属の表面を細かく磨き、ガラス質の釉薬を塗ります。その後、およそ800〜850℃の高温で焼き付けて釉薬を金属に固着させると、美しい色彩と光沢を持つ表面ができあがる、というもの。

この技法により、七宝焼きは装飾品としてだけでなく、芸術作品としても高く評価されているのです。

 

七宝と西洋の文化交流

西洋において七宝は、14〜17世紀ルネサンス期の装飾品に多く取り入れられました。

その中でも特にヨーロッパで流行したのが、懐中時計です。

懐中時計の文字盤の部分にエナメルで名画を装飾することが、上流階級の洗練されたファッションの象徴でした。エナメルはその美しさと耐久性から、多くの王室や貴族に愛用されていました。

 

また、19世紀後半に日本が開国したことで西洋との交流が本格化し、七宝の技法はお互いに影響を与え合うようになります。パリの万国博覧会で日本の七宝焼きが紹介され、その美しさと技術の高さが世界的に認められるようになりました。

 

ヨーロッパの職人たちは、日本の七宝焼きに刺激を受け、エナメルに新たな要素を取り入れるようになります。逆に、日本の職人たちもヨーロッパの技術やデザインを学び、自らの作品に応用して表現の可能性を広げていきました。このような交流により、七宝の技法はさらに発展し、多様な表現ができるようになりました。

現代の七宝

七宝の技法は、今でもジュエリー制作に取り入れられ、美しい装飾品として高い評価を受け続けています。

また、ジュエリーだけでなく、時計、食器、建築装飾などさまざまな分野で七宝焼きの芸術性が活かされています。

 

古くから伝わる七宝の技法は、貴重な伝統文化です。そのため、七宝の技法を次の世代へ伝承するための取り組みが行われています。七宝の技法は、作家を目指すための教室や体験会、伝統工芸ワークショップなどで学ぶことが可能です。

 

現代の七宝焼きは、技術的な革新とともに、アーティストの創造性によって進化を遂げています。新しい釉薬の開発や、異なる素材との組み合わせにより、従来の七宝焼きにはなかった表現ができるようになりました。これにより、七宝焼きは現代アートとしても注目されるようになり、国内外の美術展やギャラリーでも紹介されています。

まとめ

七宝は、その美しさと技術の高さから、日本や中国、西洋の文化において重要な役割を果たしてきました。仏具の装飾としても、仏教との深い関わりを持ちながら、七宝は日本の伝統工芸として発展し続けています。現代においても七宝の技法は高く評価され、次世代に伝えるべき貴重な文化のひとつとなっています。

七宝は校章や社章などにも使われ、身近なところでもみることがでます。

これを機会に、身近なところにある七宝を鑑賞したり、そのルーツに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?

そして過去にも、美しい日本語と仏教の知らなかった繋がりについて書いています。
良かったらどうぞ。

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【参考サイト】

https://www.tokyo-shippou.com/blog/16387/#:~:text=%E3%80%8C%E3%82%A8%E3%83%8A%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%80%8D%E3%81%AF%E9%87%91%E5%B1%9E%E3%81%AB%E9%87%89%E8%96%AC,%E3%81%BF%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

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