誰でも好きな人の誕生日は大事にしますね。尊敬すべき人、例えば大作家の誕生日も、「太宰治生誕108年」のように掲げたりします。そこで意外と知られていないのが、4月8日生まれのお釈迦様。お釈迦様と同じ誕生日の人…、調べてみたら沢尻エリカ、博多華丸(ボケ担当)、DAIGO、千昌夫、なんだかニヤっとしてしまう方々です。
言うまでもなく、クリスマスはキリストの誕生日です。その意味はさておき大イベントなのに対し、「強いていうなら仏教徒かなぁ」と多くの方が言う日本で、Top of the 仏教のお釈迦様のお誕生日の認知度はずいぶん低いものです。
これに疑問をもった、みんな大好き・小藪さん(吉本興業)は、去年2017年4月8日にイベント「お釈迦さま’s B.D. FLOWER FESTIVEL!!」を開きました。渋谷のクラブイベントとして、DJのクラブミュージックと「Yeah」の大合唱で大盛り上がりだったそうです。
Youtube: 「お釈迦さま’s B.D. FLOWER FESTIVEL!!」動画
https://www.youtube.com/watch?v=bHJ99gIhE_s&t=123s
仏教のメッセージがどれだけ若者に伝わったかはわかりませんが、2500年前に生まれた人の教えが今も大事に残っている、という事実に想いを馳せるだけでも、小藪さんの志しは叶ったと言えると思います。
灌仏会(かんぶつえ) お釈迦様の誕生を祝うお祭り
紀元前5世紀頃に、インド北部で生れたお釈迦様の誕生を祝うお祭り「灌仏会(かんぶつえ)」は、「花祭り」として親しまれています。
一般的な仏教的のイメージがもつ荘厳さではなく、お釈迦様の誕生秘話や花の可愛らしさが微笑ましい、命の慈しみを感じる催しです。
花祭りの由来、お釈迦様の生まれたときのお話をご紹介します。
お釈迦様誕生の言い伝え
お釈迦様のお母さん・摩耶夫人が、出産の為に里帰りしようとしていた道中のルンビニーという庭で、木の花をとろうとして右手をあげたら、脇からお釈迦様が生まれてきました。
そして、生まれてすぐのお釈迦様は前に七歩、後ろに七歩、右と左にまた七歩ずつ歩きました。
右手で点を指さし、左手で地面を指さしながら清らかな声で「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と言いました。
すると、雲一つない青い空から甘い雨が降ってきました。雨が止むと、王子様の後ろに大きな虹がかかり、そしてたくさんの草や木がいっせいに花開きました。ルンビニーの庭は、この世とは思えない美しさに輝いたそうです。
誕生直後にお釈迦様が話したという、この「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」の言葉はよく引用されますが、誤解されていることも多いようです。
「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」の真意
この意味は、文字だけで読むとこんな誤訳をしてしまいます。
「この世界で自分一人だけが尊い者だ」
お釈迦様といえども、ちょっと威張りすぎ…?な気がします。
本当の意味は、「この世にただひとりの人間として生まれてくるのは、みんながそうなのであり、ならばみんなが尊いものだ」
さらに言うと、「あなたは、だれとも比べることのできない尊い存在なのです」というメッセージだそうです。
天と地を指さした仕草も相まって、生命讃歌のメッセージですね。
花祭りは、花で飾りつけた花御堂の真ん中に、右手で点を指さし、左手で地面を指さしたポーズのお釈迦様の像を安置します。参加者が、花御堂のなかのお釈迦様に甘い雨に見立てた甘茶(あまちゃ)をかけるのがならわしです。命の尊さを伝える催しとして幼稚園などでも行われることが多く、仏教の行事のなかでも可愛らしく朗らかなお祭りですね。
甘いだけじゃないのです♪あまちゃ
この甘茶、名前の通り甘いのだそうですが、実は花粉症アトピー、なんとダイエットなどにも効果があるといわれているお茶だそうです。「あまちゃ」という響きも何だか妙に美味しそうですよね。
そこで、都内の「花祭り」でこの甘茶が飲めるお寺をご紹介します。
お釈迦様に甘茶をかける、という習わしも、普段見守って下さるお釈迦様に、私たちが何かをしてあげる側に回るのは珍しい機会です。
お釈迦様のお誕生日と春の訪れを祝って、ぜひ花祭りにでかけてみてください。甘茶もふるまわれる、都内の花祭りをご紹介します。
甘茶が飲める都内の花祭り
◇浅草寺 4月8日(日)
〒111-0032 東京都台東区浅草2-3-1
公式HP:仏生会・花まつり(ぶっしょうえ・はなまつり)
http://www.senso-ji.jp/annual_event/09.html
大人気の観光スポットでもある浅草寺。堂内陣では「仏誕図」が掛けられて法要が執り行なわれ、境内や参道の各所では、お釈迦様の生まれた時の様子を模した催しや、幼稚園児が参加する活気ある雰囲気が楽しめます。
◇増上寺 4月8日(日)
〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-35
徳川家の菩提寺として隆盛した600年の歴史ある増上寺。由緒ある灌仏会の趣きが感じられそうです。
公式HP
http://www.zojoji.or.jp/
◇東本願寺 真宗会館 4月7日(土)
〒177-0032 東京都練馬区谷原1-3-7
大人と子供が一緒に楽しめるイベント。コンサートや、忍者に変身して表現遊びをしたり、子供食堂、とれたて野菜のマルシェなど、楽しさ満点の花祭り☆
公式HP
http://shinshu-kaikan.jp/lp/hanamatsuri/
◇第34回深川花まつり(2018年4月14日 15時15分から)
〒135-0047 東京都江東区富岡1-17-13
先着順の花鉢配布や、稚児の衣装の子供たちと門前仲町を練り歩く地元住民と一緒に楽しめます。深川散策を兼ねてのお参りがおすすめ。
甘茶はヤマアジサイの甘味変種で、ぱっとみたところアジサイに間違ってしまう位似ています。
そして、花祭りの後は、すぐに紫陽花の季節がやってきます。
お釈迦様の誕生を思い出しながら、紫陽花を愛でながらのお寺散策はいかがでしょうか。紫陽花とお寺、といえば鎌倉が思い浮かびますね。今から、紫陽花散策の予定を立ててみるのはいかがでしょう。
鎌倉で紫陽花の有名なお寺
◇極楽寺
〒248-0023 神奈川県鎌倉市極楽寺3丁目6−7
江ノ電「極楽寺駅」からすぐ
◇明月院(あじさい寺)
境内を埋める2500株の紫陽花が全国に名を馳せています。淡い水色が日ごとに青みを増してく変化を楽しめます。
〒247-0062 神奈川県鎌倉市山ノ内189
北鎌倉駅から徒歩で10分
◇長谷寺
倉の西方極楽浄土と謳われ、1年を通じ「花の寺」として親しまれます。
〒248-0016 神奈川県鎌倉市長谷 3-11-2
都内で紫陽花が楽しめるお寺
◇長国寺
〒111-0031 東京都台東区千束3-19-6
紫陽花のお花見を楽しめる「あじさい祭り」を開催しているお寺。紫陽花の販売やお灸体験もできるそうです。
「あじさい祭り」公式HP
http://otorisama.jp/ikiiki-ajisai/index.html
◇妙法寺
厄除けのお寺として有名。菖蒲と紫陽花が咲き乱れる花の名所。
〒166-0013 東京都杉並区堀之内3-48-8
◇高幡不動尊
〒191-0031 東京都日野市 高幡733
日本有数と言われる紫陽花の名所。
200種類もの紫陽花が植えられ、夏は紫陽花、秋は紅葉が京都の寺に負けない美しさだそう。
今回は、お釈迦様の誕生日と紫陽花についてご紹介しました。大事な人の誕生日を想うことは、自分が今ここに生きていることも感謝できる嬉しい機会です。花をきれいだな、可愛いな、と思える心で日々を送れることも幸せなことですよね。
今回、お釈迦様の誕生にもかかわる甘茶と紫陽花が似ていると知り、がぜん花祭りも紫陽花も楽しみになりました。(ほと子が一番好きな花は紫陽花なのでした!)
特に寒く長かった冬が明けそうです。お釈迦様と花に想いを馳せ、朗らかな気持ちでこの春を堪能しましょう♪