「醍醐味」の語源は仏教!「醍醐」ならぬ「蘇」をつくってみました♪

こんにちは、ほと子です。
「食べ歩きは旅行の醍醐味だ」というように、私たちが普段から使用する「醍醐味」という言葉。この言葉が仏教と深い関わりがあることをご存知でしょうか。実はこの「醍醐味」は、古代の食品として注目を集めている「蘇」とも深くつながっています。

そこで今回は、「醍醐味」と「蘇」についての知識を深めるとともに、話題の「蘇」をつくってみました!調理過程についてもレポートしていますので、ぜひご覧ください。

「醍醐味」の語源

「醍醐味」を辞書で調べてみると、「物事の本当のおもしろさやよさ。深い味わい」とあります。

仏教において「醍醐」とは、乳を精製して作る乳製品のひとつ。乳の精製過程は五味(ごみ)と呼ばれる五段階に区分されていて、「乳(にゅう)・酪(らく)・生酥(しょうそ)・塾酥(じゅくそ)・醍醐(だいご)」の順で変化します。最終過程に相当する「醍醐」がもっとも高級品です。

濃厚な甘みをもつ乳製品「醍醐」は、得がたい最上の味を持つことから、「醍醐の味=醍醐味」は本当のおもしろさや神髄を意味する言葉として使われるようになったといわれています。

仏教との関わり

醍醐が最高の味であることから、仏教においては「最上の教え」が「醍醐」に例えられます。大乗仏教の経典のひとつである「大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)」のなかには、以下のような記述があります。

「牛より乳を出し、乳より酪を出し、酪より生酥を出し、生酥より熟酥を出し、熟酥より醍醐を出す。醍醐は最上なり。もし服するものあらば衆病皆除く。あらゆる諸薬はことごとく其の中に入るがごとし。仏の教えもまた同じく、仏より十二部経(じゅうにぶきょう)を出し、十二部経より修多羅(しゅたら)を出し、修多羅より方等経(ほうどうきょう)を出し、方等経より般若波羅蜜(はんにゃはらみつ)を出し、般若波羅蜜より大涅槃(だいねはん)を出す」

このように醍醐と同じく、大涅槃が最高で最上の教えであると書かれています。よって、大般涅槃経は最上の仏法として「醍醐味」と呼ばれるようになりました。

「蘇」とは?

古代における最高級の乳製品「醍醐」は、バターとヨーグルトの中間のようなモノといわれています。平安時代には、貴重な動物性のタンパク源としてもてはやされていました。高級なため、身分の高い貴族だけが宴席などで口にしていたそうです。残念ながら、製法は現代には伝わっておらず、幻の食品となっています。

「蘇」は「醍醐」の一歩手前の乳製品。こちらは製法が書物に残っており、古くは飛鳥時代からつくられていたようです。コロナウイルス拡散防止のためのステイホーム期間中には、牛乳を大量消費できるレシピとして、SNSで話題になりました。

古代の蘇について詳細は不明のため、これが当時の蘇と同じモノとは言い切れません。牛乳のみでつくれる手軽さと、学校給食の休止で困っている酪農家を応援したいという思いに加え、古代の食品という珍しさがブームの裏側にあるといえます。

「蘇」をつくってみました!

「蘇」作りにチャレンジしてみました!調理過程の写真とともにレポートしますので、ご覧ください。

1.材料をフライパンに投入

材料は牛乳1Lのみ。あとは、フライパンとゴムベラを用意します。ひたすら混ぜ続けるので、高さのある鍋よりもフライパンがおすすめ。私はシリコン製の調理スプーンを使用しましたが、木べらでも大丈夫です。また、適度な深さのあるホットプレートやカセットコンロでの調理もキッチンに立たずにできる点からアリかな、と思います。

2.中~強火で加熱スタート

ゴムベラでまぜながら加熱します。沸騰したら弱~中火に。フライパンのフチにカスのようなモノが付着したり、表面に膜がはったりするので、丁寧に集めてひたすら混ぜます。

3.1時間経過

牛乳は半分くらいの量に減りましたが、固形物の気配は全くしません。本当に完成するのかと不安がよぎり、心が折れそうになりますが、地道に混ぜ続けます。

4.さらに10分経過。見た目に変化が!

牛乳にややとろみが出てきました。ゴムベラを動かすとフライパンの底が見え、跡が残るようになります。突如、希望が見えてきた感じです。ここからは変化が速いので目を離さず、集中してください。

5.加熱開始から1時間20分で完成

水分が飛んでねっとりとした触感になり、ゴムベラにまとわりついてくる感じになります。心配なら弱火にして注意深く混ぜ、クッキー生地くらいの固さになったら完成!ひとまとまりに集めて、粗熱をとります。

6.ラップに包んで冷蔵庫へ。

牛乳1Lから約150gの蘇ができあがりました。ラップに包んで、冷蔵庫で約3時間冷やします。

7.好みのサイズに切り分けて、いざ実食!

まずは、フルーツソースを添えてデザート風に。
ねっとりとした食感で、目が詰まっています。そのまま食べるとほんのりとした、やさしい甘さ。砂糖を入れずにこんなに甘みを感じられることに驚きます。

甘さに物足りなさを感じて、いちごソースをかけてみました。硬めのレアチーズケーキのようでおいしかったですよ!ブルーベリーやマンゴーなど、お好みのフルーツソースで試してみてください。私はハチミツも試しましたが、まろやかで濃厚な甘さが蘇にマッチしました。

 

続いて、ワインと合わせてオードブル風に。
オリーブオイルとブラックペッパーでアレンジしました。赤ワインと合わせてみましたが、ややパンチが足りない印象。多めの塩を追加すると、ワインの濃厚な味に負けない立派なおつまみになりました!コクのあるチーズのような食べごたえでしたよ。

蘇を食して、醍醐の味に思いを馳せる!

今回は、仏教に関わりのある「醍醐味」という言葉について知識を深め、そこから派生して蘇作りに挑戦してみました。蘇作りには時間がかかりますが、シンプルな材料で手軽に作れるので、親子で一緒にチャレンジするのもおすすめ。 蘇を食し、古代の高級乳製品である醍醐の味に思いを馳せてみてください。

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