1年のなかで一番大きなイベントはクリスマスでしょう。仏教国である日本ですが、宗教的意味合いはさておき、大事な人と過ごすことが多いですね。クリスマスのイルミネーションの光は、観る人の心に神聖さを呼び起こします。
街灯の光よりも、より温もりを感じるのがキャンドルの灯(あかり)ではないでしょうか。暗闇を照らすキャンドルの炎は、いろいろな宗教において象徴とされてきたそうです。キリスト教では「この世を照らす光」=キリストの象徴であるそうです。
自らの命を削ってまでも光を灯すキャンドル、という意味もあるそうですが、日本のローソクにも似た諺がありました。
「蠟燭は身を減らして人を照らす」・・・自らを犠牲にして他人のために尽くすことのたとえ
ローソク・キャンドルの炎には、宗教を超えた共通点がありそうですね。
仏教とローソクの関係

淡い光は仏の慈悲によって人の心を明るくし、先祖が子孫へ生きるための光を導き出す一種の道標と言われているそうです。お墓参りの際にはローソクは献花やお線香同様、欠かすことのできないものです。
また、誰かが亡くなった時にローソクを絶やさないようにするのは、無事極楽浄土に行くことができるよう、道しるべにする為と言われています。
光の先が仏様のいるところと信じられていたのですね。
キリスト教と同じく、炎そのものにありがたい意味を見出しているのがわかります。
ローソクとキャンドルの違い
それでは、ローソクとキャンドルの違いは何でしょうか。
キャンドル=洋ローソク
世界初のキャンドルは、ミツバチの巣から精製されたロウを固めた希少で高価な「蜜蝋(みつろう)」でした。19世紀のイギリスで、パラフィンワックスという安価で使い勝手のよいキャンドルが作られ、今では主流となっています。
和ローソク
日本で昔から作られている方法で漆(うるし)や櫨(はぜ)の木の実から作られた「木蝋(もくろう)」で作られたもの。今は洋ローソク材に押され、作っている工場もわずかで高価なものになります。
御仏壇で使うものを「ローソク」とよんでいますがキャンドル材で作られたものがほとんどなので、厳密には「和ローソク型キャンドル」になります。
天然素材のローソク・キャンドル
・「ソイキャンドル」 大豆由来のワックス
・「パームワックス」 やしの葉を精製し作られるパーム油
・「ライスワックス」 米ぬかからできたワックス
・「ヒマワリワックス」 ヒマワリの種子からとれるワックス
・「蜜蝋」 ミツバチの巣から採取されたもの
・「木蝋」 漆(うるし)や櫨(はぜ)の実から抽出されたもの

蜜蠟
ローソク・キャンドルの効用
ローソクやキャンドルの光を見つめると、自然とリラックスします。そのリラックスには、科学的な根拠があったのでご紹介します。
1/fゆらぎ (エフぶんのいちゆらぎ)
人間は五感を通して外界から「 1/f ゆらぎ」という自然界のゆらぎを感じると、生体リズムと共鳴して自律神経が整えられ、精神が安定するとわかってきました。
人の心拍の間隔、小川のせせらぐ音、波の感覚、雨音、木目、木漏れ日なども「1/fゆらぎ」にあたります。
マイナスイオン
ローソク・キャンドルの炎はマイナスイオンも発生させます。
まるで森の中にいるような「森林浴効果」があるそうです。
消臭効果
ローソクの炎は、周囲の空気を巻き込んで対流を起こしながら燃えているので、空気中の臭いの微粒子を燃焼してくれるそうです。
料理やたばこ、汗の臭いや部屋干しの匂いさえも消し去ってくれます。
アロマキャンドル香りの効果
エッセンシャルオイルなどの精油で香りづけられたアロマキャンドルでは、香りによるリラックス効果が得られます。
火をつけなくてもよい香りがするものもありますし、その時々の気分で選べるのも嬉しいですね。
「今」を見つめる瞑想効果

ヨガの宗派の王道に当たる「ハタヨガ」の浄化法の一つに「トラタク瞑想」があります。ローソクの炎を見つめ、心を鎮める瞑想法です。
ローソクの炎など、ひとつの対象物に視線を集中することで、休みなく動いている眼球の動きが止まり、それに伴い忙しい思考も停止します。
「今この瞬間」に留まることで、深い集中力を生み、心身に安らぎをもたらすと言われています。
ヨガを意識しなくても、瞑想効果があると知っておくだけでも十分だと思います。
海外のローソク・キャンドル
中国
中国では古くから、結婚式や誕生日など、おめでたい日に赤いローソクを使う風習があります。金粉で縁起の良い字や、絵が描かれているものもあります。

ちなみに、中国では死者を祀る際に使われる品としての意味合いが強く、他人にローソクを贈ることはタブーだそうです。綺麗だったり香りがよくても、死者を連想されてしまうそうです。
日本では、よい香りのするものや華やかなキャンドルは贈り物に喜ばれますが、中国の方へのギフト選びの際は気をつけましょう。
北欧
日照時間の短い北欧諸国では、日常的によくキャンドルを使うそうです。
キャンドル消費世界一のフィンランドのキャンドル工房の動画です。
YouTube : 【北欧の国から《033》キャンドル】
色とりどりのキャンドルに、心がほんわかと温まります。
お薦めキャンドルグッズ
◇キャンドルカバー
キャンドルにたまってしまったほこりは、火をつける前に乾拭きすればよいのですが、せっかくのキャンドルにほこりが付くのを避けたいという方もいると思います。
お気に入りのキャンドルを隠さず、自然にほこりからカバーできるガラスのデザインが素敵です。


◇短時間のローソク
短い時間だけ灯るローソクは、安全面でも時間を計る上でも安心・便利です。
般若心経を1度唱えるのに5分前後ですので、心を落ち着かせる間も含め、10分のローソクは重宝しそうです。

◇手作りキャンドル
私もキャンドル作りに夢中になったことがありました。
パラフィンを使って、色が混ざったグラデーションのものを作りましたが、その色合いは手作りの味わい深さがありました。
高さ20センチ位のものも作りましたが、なかなか減らないので、数年間楽しめました。

【Amazon】《日本製》 1kg キャンドル用 パラフィン ワックス

【Amazon】本「ハンドメイドキャンドル」(著) 福間 乃梨子
宗教儀式ではもちろん、個人的癒しにもなるローソク&キャンドル、日常的に使っていきたいですね。安心して灯を見つめられるよう、扱いには十分お気をつけ下さい。
皆さまがリラックスしながら毎日を送り、よいお年をお迎えになられますように♪