高尾山の火渡り祭に出かけまショー♪3.11

数十年ぶりの大雪に見舞われたり、都内でも氷点下を記録するなど、この冬の寒さは厳しかったですね。
身も心も縮こまったところに喝をいれるべく、今回ご紹介したいのは来る2018年3月11日(日)に行われる「高尾山・火渡り祭」です。一般の人も参加できる仏教修行体験として、「お護摩」と「火渡り」の意味と内容、そして密教の魅力についてもお伝えします。

御護摩(おごま)

御護摩(おごま)というのは、「供物を捧げ護摩木という特別な薪を焚いて祈る」という真言密教の秘法です。
燃え盛る護摩壇の炎に宿るお不動様の智慧の炎によって清浄な願い事として所願成就を祈ります。そして、高尾山での火祭りで行われる「柴灯大護摩供(さいとうおおごまく)」とは、古来、山伏が山岳修行の際、柴(しば)を使い護摩壇を設け、所願成就を祈念する修験道の伝統行事です。

護摩はサンスクリット語(古代インドでは共通語で、現在もインドの公用語)の「ホーマ」を音写したもので、「物を焼く」という意味です。
もとはバラモン教の火の神を祀る儀礼で、燃え上がる炎は「天の口」であって、その口から供物(くもつ)を食します。
その口は仏の智慧の象徴でもあり、煙が天に届くことで、天は食を頂くことができ、代わりに人々の願いを聞き届けてくれるといわれています。

こうした儀礼はインド以外にも見られ、火を畏怖する人間の原始的な心が感じられます。私たちが納めた護摩木が供物(くもつ)として焼かれる、というところが面白いと思います。お寺で護摩を焚いてもらったことがありますが、自分の書いたお札が煌めく大きな炎のなかにくべられ、燃え上がっていくのを見るのは、まさに天に願いが聞き届けられたような感覚になります。

 

 

火渡り

熱した炭を敷き詰めたその道の上を裸足で歩き抜けます。火の上を歩くことにより、日ごろ知らず知らずに犯している罪を焼き祓い、心身ともに清め、六根清浄を極め生まれ変わり、心願成就・大願成就等、得にくいご利益が授かるといわれています。

高尾山の火祭りで、その上を歩き渡る炭となるのが、信者の祈りを書いた護摩木を燃やした木です。願い事を書き込んだ護摩木を投じて燃やすのは、密教の「護摩」の儀式ですが、燃え落ちた灰の上を裸足で歩くという点が、修験道独特の儀礼です。

高尾山は空海が開いた真言宗のお寺です。日本古来の山岳(“お山”)信仰と、真言密教がミックスされた儀式といえます。来る3月11日、春の訪れを感じながら、高尾山という霊験あらたかであり身近な高尾山に火祭りに出かけましょう。

国土安穏・復興祈願 高尾山・火渡り祭

平成30年3月11日(日) 午後1時から 於 自動車祈祷殿広場

山伏達がほら貝を吹いたり、木を切り出したり、剣を振る儀式、熱湯で身を清める姿など、火渡り以外にも見応え満載の大イベントです。

◆開催場所:高尾山中にある薬王院ではなく、駅から10分ほど歩いた麓の自動車祈祷殿広場で行われます。

◆参加費:無料(お札の購入)

◆購入できるお札等:

・御壇木:一万円(儀式の中で名前を読み上げられ、特別札を授与され、名前を薬王院境内に1年間掲示される)※志納方法についての詳細は、高尾山薬王院信徒課までお問い合わせ下さい。

・梵天札(500円)山伏たちが燃えさかる炎のまわりを御加持して歩いた厄除け・火災除けのお札。

・渡火証(300円)願いを込めて火を渡ったことの証。

・撫で木(200円)身体の不調のある部分を撫でると病魔を滅するご利益。

・御浄塩(100円)火渡りの際、両手に合わせて持ち、家庭でのお清めに。

◆飲食:近くにコンビニが1件あるが、かなりの混雑。例年、屋台は出ているようです)

◆火渡りの一般参加:13時から開始する儀式(1時間)の後、山伏達の火渡りに続き一般参加者も火渡り可能。

◆山伏達が渡った後の火は徐々に冷えていくので、熱い火渡りを望む方は早めに並ぶ必要あり。儀式開始の13時前から並ぶ方も。

靴を脱いで素足になり、塩で足を清めてから渡ります。火道場の中に足を踏み入れてからは撮影禁止なのでマナーを守り、願いを込めて渡りましょう。

「高尾山・火渡り祭り」公式HPhttp://takaosan.or.jp/taiken/hiwatari.html

 

そして…ちょっとだけ深い密教のお話

御護摩の儀式である密教は、仏教の歴史のなかで後期に現れ、「秘密仏教」の意味です。現世利益を目的とした呪術に、悟りを得る為の修行としての意味を与えた教えで、「秘密」というだけあり、その教えはとても複雑で難解と言われています。
それでも、真言密教を伝えた仏教界のスター・空海ゆかりの四国八十八か所のお遍路さんは今もって大人気ですし。初詣の人出のベストテンのうち、2位の成田山新勝寺、3位の川崎大師、5位の浅草寺は密教系のお寺です(他は全て神社)。教えの神髄は難しくても、特定の特別な修行をした者だけに開かれた狭い門ではないということです。

空海像

御護摩は護摩壇の上で行われると同時に、行者(参加者)の意識の中でも同時進行され、大日如来の知火が、見ている者の煩悩を焼き尽くして清浄な心を生む、とされます。壇上で行う外護摩(事護摩)に対し、内護摩(理護摩)と呼ばれます。それは、護摩を焚く僧侶だけではなく、見ている者にも功徳があるという説明にもなります。

実践を前提とした密教だからこそ、このような機会にその炎や煙に熱さを感じ、祈るという実践が、仏性を高める機会になると言えるでしょう。仏教について何も知らなくても、御護摩は迫力あるイリュージョンパフォーマンスとして楽しめますが、密教の儀式として参加すると、一層意義深い時間となるでしょう。

3月の第二日曜日の開催ですが、今回は3.11となり、東北震災の復興祈願も含めた火祭りとなります。

私、ほと子も、当日参加する予定です。「ほとけ便り」と書いたたすきを掛けているので、見かけて頂きましたらぜひお声をかけて下さい。

皆さまの願いが、護摩の炎で成就されますように。
そして願いを叶える為の力が湧いたことを、会場にいる方々と実感できたら最高です☆