こんにちは、ほと子です。
ちらほらと、梅雨入りしたというニュースが入ってくるようになりましたね。
ゴールデンウィークのお出掛けも自粛していたほと子にとって、梅雨の時期のお楽しみがあります。
それは、雨の中のお寺めぐり。(秋の紅葉を楽しむ過去記事はこちら)
お天気の良い日にお散歩するのも気持ちがいいのですが、雨音を聴きながら砂利道を歩いていると、心がとても落ち着きます。
そこで、今回は梅雨だからこそ訪れたいお寺のご紹介をしたいと思います。
目次
1,一番雨が似合う花 紫陽花の咲くお寺
2,明月院(神奈川)
3,長谷寺(神奈川)
4,雨引観音(茨城)
5,雨に濡れ、しっとり輝く苔が美しいお寺
6,西芳寺(京都)
7,祇王寺(京都)
7,ほと子’s choice
一番雨が似合う花 紫陽花の咲くお寺
全国には、たくさんのあじさい寺と呼ばれるお寺があります。どんよりと曇った空の下、紫や水色、白、ピンク•••と鮮やかな紫陽花に水滴が光る姿は、とても美しい様です。
しかしそもそも、なぜお寺にはよく紫陽花が植えられているのでしょうか。
諸説ありますが、一つは医療が確立していない昔むかし、季節の変わり目で病に倒れる人や亡くなる人が多かったこの梅雨時期に咲く紫陽花を、弔いの意味を込めて植えたという説です。ここから、紫陽花のイメージが死を連想させるものになったのだと言われています。
また古来、お寺は修行の場であり神聖な山に建てられることが多くありました。陽当たりの恵まれていないお寺の境内でも、お手入れの手間がかからずに毎年咲いてくれるため、仏花としても重宝されたからという説です。それだけでなく、紫陽花の根は横に張るため土留めの役割もしています。紫陽花があることで急斜面に雨が降っても、土が流れ出さないようにもなっているのです。
もう一つは、紫陽花の変種である甘茶(アマチャ)との関係性があります。甘茶には、釈迦様がお生まれになったときに甘茶の産湯に入ったという逸話があるのです。昔のお寺では甘茶を煎じ、胃腸病、切り傷や火傷などの治療に使っていました。今でも、あじさいと似ている甘茶の木は多くのお寺に植えられているのです。
そんな逸話のある紫陽花が美しいお寺をご紹介します。
明月院(神奈川)
関東であじさい寺と言えば思い浮かぶ、鎌倉の明月院。
「あじさい寺」の名が世に初めて登場するのは昭和中期で、こちらが最初ではないかと言われています。境内を埋める数千本の紫陽花は、その淡い水色から青みを増していくいく独特の色彩で『明月院ブルー』と呼ばれるほどです。
見頃は、6月上旬から7月上旬。
歴史としては1159(平治元)年、平治の乱で戦死した首藤(山ノ内)俊通の供養として
息子の經俊が明月庵を建てたのがはじまりです。その後第5代執権北条時頼の息子で第8代執権の時宗が禅興寺を創建しました。しかし禅興寺は明治初年に廃寺となり、筆頭の支院だった明月院だけが残り今に至るそうです。
長谷寺(神奈川)
こちらも同じ鎌倉にある、長谷寺。本尊にある十一面観音菩薩像と、鎌倉の海を一望することのできる見晴台などが有名な「鎌倉の西方極楽浄土」と呼ばれるほどの花が綺麗に咲く観光名所になっています。さらに眺望散策路に上がると、遠く相模湾の眺望と共に梅雨に映える40種類以上約2500株の紫陽花がお出迎えしてくれます。
また十一面観音菩薩像は今年で造立1300年だそうで、御本尊の全身総開帳が行われています。
(HPから引用)
都で『万葉集』が編まれていたこのころ、ひとりの高徳の僧が、この世の人々を苦しみや悩みから 救うため、観音菩薩の霊像の造立を志します。その名は徳道上人。『相州鎌倉海光山長谷寺事実』という書物によれば、上人は一本の楠の霊木から二体の観音像を造り、一体は大和(奈良県)長谷寺にお祀りし、一体はご縁のある土地を求めて海にお流ししました。養老5年(721)のできごとです。霊像は15年のあいだ海のうえを漂い、ついに相模(神奈川県)にながれつきました。そのお像こそ、いまもわたしたちを見守る“長谷寺の観音さま”なのです。
例年6月初旬~7月上旬にかけて傾斜地を利用した「眺望散策路」に2,500株もの様々な色の紫陽花が咲き乱れます。紫陽花の見学は予約制なので、HPでご確認ください。
境内の3か所に置かれている可愛らしい良縁地蔵もぜひ一緒に探してみてくださいね。
雨引観音(茨城)
こちらは、用明天皇2年(587年)梁の国人の法輪独守居士によって開かれた古刹で、安産子育ての霊場として広く知られる関東屈指のお寺。本尊延命観世音菩薩は国の重要文化財であり、坂東24番札所としても有名です。
雨に濡れ、しっとり輝く苔が美しいお寺
このところ、密かに苔がブームになっています。盆栽として、ミニチュアサイズのものを育てている方もいるほど、苔は癒しとして認知されてきていますよね。しかし、日本のように苔そのものを愛で、観賞する国は珍しいようです。
これ程までに苔が昔から愛されるのはなぜかというと、日本が苔の生育に適した環境であったことが挙げられます。ご存じの通り苔は水に恵まれ、湿潤な気候でよく育ちます。
また世界には約18,000種の苔があり、そのうちの約1,800種が日本で確認されているそうです。
苔は和歌の題材にもなり、国歌『君が代』でも「苔のむすまで」とうたわれていますね。
『君が代』の歌詞は、『古今和歌集』に収録されている短歌の1つです。このことからも、日本人にとって苔は昔から身近に愛でられる植物だったといえますね。
近年外国人からの人気も上がっている苔の美しさを堪能できるお寺を、ご紹介します。
西芳寺(京都)
世界遺産にも登録されている西芳寺は、別名「苔寺」と呼ばれるほどに、苔が有名なお寺です。歴史は古く、奈良時代に行基(ぎょうき)により開山したそうです。
庭園は上段が枯山水、下段は黄金池を中心とした2段構えの池泉回遊式庭園になっていて、120種類の苔が密生し見渡す限り深い緑が広がっています。
拝観は完全予約制ですが、予約しても見に行く価値があるスポットです。
また、こちらはお子様拝観の日があるそうですよ。ぜひチェックしてみてください。
祇王寺(京都)
京都奥嵯峨に位置し、『平家物語』でも有名な尼寺の祇王寺です。こちらは見事な竹林と楓で有名ですが、実は苔に覆われた庭もとても美しいのです。
悲恋の末に出家した祇王を思いこさせる佇まいで、その歴史の中に入っていける感覚が大好きです。
また、ぜひ訪れて頂きたいのがひっそりと佇むかやぶき屋根の草庵。中には祇王、祇女、刀自、仏御前ら5人の木像が安置されている仏間があり、吉野窓から外の景色を眺めることもできます。
日本人の美意識にある『わび・さび』は、この苔のようなひっそりと朽ちて行く様にも美を見出す世界観とも言えるでしょう。
苔を隠喩した言葉を調べてみました。
「苔生(こけむ)す」とは「悠久の時間」を表しますが、これは苔が一面を覆うまでに長い時間がかかることから生まれた表現です。「苔の衣」は文字通りの苔でできた衣服ではなく、清貧を重んじる僧侶の粗末な衣服を表しています。時には、日本人の死生観にも強く関連し、「苔の下」は死後の世界を表す表現になるそうです。
いかがでしたか?雨の日の、お楽しみの一つにして頂ければ幸いです。
ほと子’s choice
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