こんにちは、ほと子です。
自粛モードが続くなか、楽しめる物事をお探しの方や、少々もてあましぎみな毎日をお過ごしの方もいらっしゃるのではないでしょうか。自宅にいながら楽しめる、仏教にまつわるもののひとつに「香」があります。香は仏壇をはじめ、仏教儀式には欠かせないアイテムです。
ルームフレグランスとしても人気があるので、信仰の有無にかかわらず、気軽に楽しめる点もよいですね。そこで今回は、仏教における香の意味をお伝えし、香の効能や楽しみ方などを紹介してみたいと思います。
香とは?
香とは、沈香(じんこう)・白檀(びゃくだん)など、天然の香木を原料とし、線香などに加工したアイテムのことを指します。沈香のなかで耳にすることがある伽羅(きゃら)は、産出量が少なく、希少価値の高い高級品。一般的に知名度が高い白檀は、そのままでも香るため、仏像や扇子など工芸品の材料として使われることもあります。
仏教において、香の使い方は「抹香(まっこう)」や「線香(せんこう)」、「塗香(ずこう)」といった形態です。
抹香は、お焼香で使われる粉末状の香で、葬儀などで故人を供養するために焚くものです。線香は、もっともポピュラーなスティック状の香。寺院やお墓、仏壇などで使用されます。塗香とは、香を手や体に塗って浄化すること。細かい粒子状で、修行者が心身を清めるために使用するほか、けがれを除くために仏像に塗ることもあります。
香の意味合い
仏教での香は、お供え物のひとつとして取り扱われます。仏壇などへのお供え物は「五供(ごくう)」と呼ばれ、「香・花・灯明・水・飲食」の5つが基本です。
香がもつ意味合いは、三つあります。
一つめは、天に向かって立ちのぼる煙がこの世とあの世をつなぐ道しるべになるということです。亡くなった故人とつながるため、または仏様と話をするために線香をあげたり、焼香したりします。
二つめは、心身を清めるということ。寺院を参拝する際に香を焚くのは、けがれを除いてから仏様と向き合うためです。香りが空間に行き渡ることで、すべての人に平等に接する仏様の慈悲を表しているともいわれます。
そして三つめに、故人が食べられるのは匂いだけといわれていることです。仏教経典には「生前によい行いをした死者はよい香りを食べる」というような記述があります。
香の効能
沈香などの香木の香りのおもな効能としては、浄化作用が挙げられます。心身を清めたり、部屋の空気を浄化したりすることで、気分転換ができ、勉強や仕事の集中力も高まるのでおすすめです。白檀は、西洋名を「サンダルウッド」といい、邪気をはらう効果があるとして、ヨガなどの瞑想にも使われます。
また、鎮静や防虫などの効能もあるといわれています。鎮静は日常のストレス緩和に役立ち、リラックスや安眠に効果的です。防虫は、衣服をはじめ、ひな人形や書画、骨とう品などの保管に利用できます。
香の楽しみ方
日常生活での香の楽しみ方には、大きく分けて3つの方法があります。火を使わない方法・間接的に熱を加える方法・直接火をつける方法です。それぞれの方法で楽しめる香の種類と、選び方のポイントをご紹介します。
火を使わない方法
火を使わずに香りを楽しめるので安全。そして、灰が出ないため、後片付けの手間もありません。香りを携帯したい、手軽に楽しみたいという方におすすめです。
●奥ゆかしい香りを携帯したいなら「匂い袋」
匂い袋は、常温で香る香木を角型に刻んだり粉末状にしたりして、小さい和柄の巾着袋に詰めたものが一般的です。欧米にもサシェと呼ばれる同様のものがあります。携帯してほのかに漂う香りを楽しんだり、レターセットなどと一緒に保管して香りを移したりという使い方がおすすめ。
また、クローゼットに入れておくと、衣服をやわらかい香りで包んでくれるだけでなく、防虫効果も期待できます。見た目がかわいいので、玄関やリビングなど見える場所にディスプレイしてもいいですね。空気が動くたびに、自然と香りが広がります。
●香水代わりに使える「塗香」
細かい粒子状の塗香は、ボディーパウダーのように使用するのがおすすめ。少量を手のひらや手首などにすり込むと、ほのかに香ってリフレッシュできます。髪の毛につけたり、お風呂に入れたりして使う方もいるようです。
もちろん、本来のお清めの意味で、寺院に参拝する際にも使用できます。一般の方が寺院に通って写経をするときに、お清めとして使用するのにも便利です。
間接的に熱を加える方法
小ぶりの炭をおこし、香炉に入れた灰の中にうずめて灰をあたため、あたたまった灰の上に香をのせて香りを立たせる方法です。香炉などを用意する必要がありますが、ひと手間かけることで別次元のリラックス感が味わえます。
●見た目も楽しむなら「印香」
印香とは、粉末にした香料を練り合わせて固めたものです。梅やもみじなどの形に型抜きされているので、見た目にも楽しめます。季節に合わせたデザインをコレクションするのも、楽しみ方のひとつ。
カラフルな印香を香炉とあわせて飾ると、使わないときもインテリアとしてお部屋を彩ります。
●本格的に香りを“聞く”なら「香木」
印香よりもやや複雑な方法(ここでは割愛しますが、興味がある方は調べてみてください)で灰の上に香木を置いたあと、香炉を手に取り、覆った手のすき間から香りを楽しみます。
「聞香(もんこう)」とも呼ばれるこの方法は、香りを聞くという趣深い鑑賞法。伝統文化として香りをたしなむ、上級者の楽しみ方です。
直接火をつける方法
直接火をつける方法は、香の楽しみ方として広く知られるもっともポピュラーな方法です。いつでも好きなときに、簡単にできるのがポイント。香の種類もバラエティ豊かです。
●ゆっくり楽しみたいなら「線香」
お供え物として馴染みのある、スティック型の香です。長さによって違いがあり、燃焼時間は20~30分。ゆっくり時間をかけて楽しみたい方におすすめですが、燃焼時間は線香を短く折ることで調整できます。燃えている面積が一定なため、香りが均一に広がるのが特徴です。
煙が少ないのも魅力のひとつ。専用の香立てが必要となりますが、こちらもさまざまなデザインがあるので、香立てを選ぶ楽しみもあります。
●短い時間でリフレッシュしたいときに便利な「コーン型」
円錐のものはコーン型と呼ばれ、燃焼時間が約10分と短めで、香りが濃厚に感じられるのがポイント。短時間で香りを満喫したい方におすすめです。下にいくほど香りが強くなり、香りの変化も楽しめます。
灰はそのままの形で残るので、周りに飛び散る心配がありません。手持ちの小皿や灰皿に香をセットできる手軽さも魅力です。
●長時間香りを持続させたいときは「渦巻型」
蚊取り線香のような渦巻き型は、燃焼時間が1~2時間と長いものが多く、香りを持続させたいときに便利です。広い部屋や、空気の流れが多い玄関などで使うのがおすすめ。燃焼時間の調整は、香の途中を金属製のクリップで挟んで行います。
香をもっと身近な存在に!
香の香りや種類はさまざまで、デザイン性があるものもたくさんあります。リラックスや癒し効果を得るのと同時に、コレクションしたり、インテリアとコーディネートしたりと、多様な楽しみ方ができるのが魅力です。香を身近な存在として日常に取り入れ、毎日の生活がより健やかに、楽しくなりますように。
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